禁煙Q&A
Q:禁煙はなぜしにくいのか?
A:禁煙しにくいのは癖や習慣というのもありますが、タバコに含まれるニコチンが中毒性の薬物だからです。初めてタバコをすった吸ったときは、くらくらしたり気持ち悪くなったりしたはずです。でも何本か吸ううちにいつの間にか習慣となり、吸わずにはいられない体になります。喫煙が習慣となるとニコチンの血中濃度によって、気分が左右されるようになってしまうのです。
Q:禁煙するメリットとは?
A:まず第一にタバコにかけていたお金を有効に使えるようになります。そして第二に病気になるリスクが半減します。そして第三に自分の大切な人を副流煙の害から守ることができます。他にもお家の壁が汚れなくなったり、肌が若返ったり、歯が綺麗になり口臭が治ったりと・・・メリットばかりです。
Q:タバコにはどんな害があるの?
A: 病気になる危険がいっぱいです。
タバコの煙の中には約4,000種類もの化学物質が含まれ、その中には発がん物質・発がん促進物質が約200種類あります。
ニコチン・ベンゼン・ダイオキシン・カドミウム・ヒ素・一酸化炭素といった、健康や環境に悪影響を与える物質が多数含まれています。
また、タバコの中に含まれる有害物質は肺がんや肺気腫、喉頭がん、心臓病、歯周病などの原因となっていることが明らかとなっています。
特にニコチンには強い依存性があり、タバコを止めたくても止められないのはこのニコチンに原因があるのです。WHO(世界保健機関)では「精神及び行動異常症」として分類し、薬物依存症の専門家は、ニコチンの精神依存性はヘロインやコカインと同等ないしはそれよりも重いとしています。
Q:たばこの成分はどのようにして体に吸収されるの?
A:たばこの煙は吸い込まれて、肺から血液の中に吸収され、全身を廻ります。さらに詳しく言うと、気管に吸い込まれたたばこの煙は、左右にわかれて、気管支の管の中を奥に進みます。そして、気管支の中を、いくえにも枝分かれしながらずーと奥まで行くと、気管支の一番奥の袋状の盲端部分(肺胞)に達します。ここで豊富に分布する毛細血管から体内(血中)に吸収されます。血中に吸収されたニコチンなどの有害物質が、中枢神経(脳)に達してさまざまな神経薬理作用を発揮します。又たばこの成分は血中に入らずとも、上気道(口、鼻、のど)から気道の奥までいろいろな細胞に直接的な有害作用があります。
Q:肺に吸い込まれたタバコの有害物質はどうなるの?
A:まず、肺の細胞や酵素が、さまざまな反応を起こし、処理されます。
たばこ害を処理して無毒化する細胞の代表格はマクロファージです。マクロファージは、肺を掃除する役割です。喫煙家のマクロファージはその数が非喫煙家の5-6倍に増えています。又その大きさも大きくなっています。
マクロファージは、一定期間生きた後、自然に細胞は死んでいきますが(アポトーシスと呼ばれる)、喫煙家のマクロファージではアポトーシスが起きにくくなっています。
すなわち喫煙家のマクロファージは、有害物質を除くため、めいっぱい働いているわけです。喫煙家のマクロファージは、死なないで、常に働くような指令を受けています。
Q:冠動脈疾患の人ではたばこが危ないのはどうして?
A:ニコチンには、心拍数を増加(どきどきが強くなる)させたり、心収縮力を増加(心臓が伸びたり縮んだりする力が強くなり、心臓から押し出される血液量が増える)させる作用があります。
この時、心臓は普段より多くの酸素を必要とする状態になります。心臓の周りには酸素と栄養を供給するために冠動脈と呼ばれる栄養血管がぐるりと囲んでいます。健康成人では運動などで心臓の働きが盛んになると、これに見合う量の冠動脈の血液量の増加が起きます。ニコチンは心筋の働きを上げる物質(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)を増加させ、心臓はより酸素を必要とする状態になりますが、冠動脈疾患の人ではこれにみあう量の酸素を心筋に供給することができません。
ニコチンは血圧の上昇を起こします。血圧の上昇を起こすために皮膚血管の収縮がおこります(皮膚の血管が縮んで、冷たくなる)。ニコチンは胎盤血管の収縮も起こします。
Q:たばこの発癌物質って?
A:たばこには多くの発癌物質が含まれています。こうした発癌物質は、体内に入るといろいろな酵素で処理されます。
発癌物質を処理する酵素能力には個人差が大きいことがわかっています。処理能力の低い人は、より癌になりやすいのです。
タバコ中の発癌物質であるベンゾピレンなどは、DNAと結合してDNA付加体(DNAに有害な付属物がついた状態)となり、DNA損傷のきっかけをつくることになります。
実際にはこうしたDNAの変化が蓄積することにより、DNAの構造的な異常がおき、遺伝子暗号の狂いが生じてきます。
Q:DNA損傷がなぜ発がんに続がるの?
A:
DNAは4種の塩基とよばれる構成物質(窒素を含む物質でアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4種)がさまざまな順序で並んでいます。
4種の物質の並びは暗号になっていて、この暗号に従って、私たちは生命に必要なアミノ酸を合成します。DNAの暗号に基づいていろいろな種類のアミノ酸がつくられ、さらにアミノ酸は、つながっておりたたまれると、たんぱく質となります。
たんぱく質は、体をつくる基本的な物質ですが、同時に、発癌物質を分解する酵素として働いたり、細胞増殖・細胞死を調整したりします。
DNA遺伝子に異常がおきると暗号が壊れ、その結果、アミノ酸がうまくつくれず、正しく働くたんぱく質にならないのです。P53は代表的ながん抑制遺伝子ですが、この遺伝子に異常がおきると、細胞の異常増殖を止めるたんぱく質がつくれなくなり、細胞の勝手な増殖が進んでしまうことになります。
がん細胞は、抑制のきかない自己増殖が可能です。さらに、体の別の場所に、飛んでいってその場所で生き延びる能力を獲得した細胞です。ブレーキのきかない自動車が、運転者の気持ちを無視して、暴走するのです。
Q:たばこの胎児への影響って?
A:ニコチンには血管を収縮させる作用があります。
たばこを吸うと胎児に血液を供給する胎盤の血液量が減りますが、その結果として胎児に必要な酸素と栄養の供給不足が起こります。
又たばこ煙中のCO(一酸化炭素)はヘモグロビン(Hb)と結合してCO-Hbになります。本来、ヘモグロビンは、酸素と結合して酸素を運ぶ役目です。これが酸素と結合せず、COと結合してしまうと、酸素を胎児に運べなくなり、これも胎児の酸素不足の原因になります。
喫煙女性が出産した子供では、非喫煙女性の子供より平均体重が少ないことがわかっています。これは喫煙女性では、子どもの胎内での発育が悪いことを示す結果と思われます。
妊娠中も、生まれてからも、受動喫煙にさらされる乳児では、乳児の突然死や、喘鳴(ぜーぜーすることで、気管支が縮む状態)との関係が良く知られています。
Q:ニコチンの作用にはどのようなものがあるの?
A:呼吸器系や循環器、悪性疾患などとの関連が有名ですが、他にも全身に作用します。
代謝系:脱離脂肪酸を増加させる。
中枢神経系:覚醒、気分爽快感、気分高揚感、振戦
内分泌系:成長ホルモン増加、副腎皮質ホルモン増加
Q:ニコチンにはどういう中毒作用があるの?
A:悪心、嘔吐、めまい、自律神経刺激症状(副交感神経刺激症状、よだれ、下痢、縮瞳から散瞳、頻拍から徐脈、交感神経刺激症状、血圧上昇から低下、心拍増加)がでます。
さらにニコチン濃度が上昇し循環器系症状が進行すると全身の血圧が低下しショック状態となります。急性中毒のように目立たないけれど、重要なのは、毎日の喫煙により、呼吸器・循環器の機能や構造が破壊されてしまうことです。
肺は、たばこの有害物質を処理しようと、必死で白血球や分解酵素を増やして解毒にがんばります。分解酵素は、自分の体の細胞に作用しないよう調節されるのですが、やがてはそうした調整が限界に達し、分解酵素が自らの体の細胞を壊していくことになります。
Q:たばこを吸うと気分が爽快になるのはどうして?
A:ニコチンは神経調節作用があり脳細胞を活性化させます。しかし、これは薬物作用に過ぎません。ニコチンにより、細胞の働きが変調するだけです。
たばこを吸うことに慣れると、今度は、たばこを吸わずにはいられくなるのですが、人が快適さを感じるのに適当なニコチンレベルがあり、それは血中濃度7-25ng/ml位です。さらに、これには、個人差があります。
高濃度までたばこを吸い続けると悪心、嘔吐、めまいを感じるようになります。ニコチン至適濃度はその神経調節作用により脳細胞を活性化させます。ニコチンは記憶力、事務処理能力を高めることができますが、その理由は脳内伝達物質の分泌を促進するためです。
しかし、一旦、ニコチンで爽快感を味わうことに慣れてしまうと、血中のニコチンが減少した時には、脳内伝達物質が調整できなくなりますので、頭がぼーとなる状態になります。こうなると又たばこを吸いたい気持ちが強くなります。たばこを吸うと、ニコチンが確保されてほっとするわけです。体が薬物に支配されてしまっていると言えます。
Q:ニコチン依存症とは?
A:喫煙者がなかなかタバコをやめられない理由は、体がすでにニコチンを必要とする状態になっているためで、これをニコチン依存症と言います。
このしくみが最近少しずつ解明されてきました。薬物を感じる部分は、細胞の受容体と言われる部分ですが、この受容体の働きや薬物の分解能力は個人差が大きいことがわかってきました。こうした、個人差はタバコ依存の程度に関連します。
つまり、たばこに依存的になりやすい人や、やめにくい人がいるわけです。
ニコチンは血液に吸収されて脳細胞に作用します。ニコチンは脳細胞上にある受容体に結合して作用しますが、ニコチンは脳の働きを調整するドーパミンの分泌に関係します。脳内物質の調整に、一旦ニコチンが介入すると、常に血中にニコチンが存在していないとドーパミンがまわらなくなるようです。
この分野は生物分子学という医学分野の発達により、解明されてきました。今後も興味深い体のしくみが明らかになると思います。禁煙を成功させるには、意志の問題だけでなく、個人ごとの体質の影響を考える必要があります。
Q :ニコチンの禁断症状は、どんなもの?
A: イライラ・頭痛・集中力低下・眠気・脱力感・・・そして、一番やっかいなのが、鬱状態を引き起こしてしまうことがあります。
気分が、落ち込み、やる気がしないで、生活に支障が出ることもあります。
なので、タバコのニコチンを切ると同時に、(禁煙を始めた時から)ニコチンパッチやニコチンガムで、少量のニコチンを補充して、からだや脳に、無理のない禁煙をしてほしいのです。
Q:喫煙と動脈硬化との関係って?
A:喫煙は血管の粥状硬化の進行を加速します。
喫煙は、低比重リポ蛋白(悪玉コレステロールLDL)に含まれる過酸化脂質を増加させ、さらにこれを処理するため、血管から白血球(血中の単球が血管外にでてマクロファージとなる)がでてきますが、このマクロファージは盛んにLDLを自分の中にとりこんで処理に努めます。
LDHを取り込んだマクロファージが動脈壁内に集まると、脂肪とマクロファージの集塊ができます。この粥状部分は非常に破れやすく血管がつまる原因になります。喫煙は、高比重コレステロール(善玉コレステロールHDL)の低下もおこし、動脈硬化を進行させます。
Q: タバコはまわりの人にも害を及ぼすの?
A: まわりの人の方がもっと危険です。
タバコの先から立ち上る煙を「副流煙」といいますが、これは喫煙者が吸っている「主流煙」や「吐き出す煙」よりも強い毒性があります。この副流煙などを吸わされることを「受動喫煙」といい、いま被害の大きさからいって、こちらのほうが問題となっています。
この他に、歩きタバコの被害、タバコの不始末による建物や山林の火災、ポイ捨てによる街の汚れなど、まわりの人が被る害にはとても大きいものがあります。
Q :“副流煙”は、どれくらい危険?
A :副流煙は、できるだけ避ける必要があります。
タバコから立ち上る煙は、本人が直接吸い込む時より、
低い温度で、不完全燃焼して出ている煙ですから、かなり有害物質が、多く含まれています。
避けられるなら、なるべく吸わないようにして頂いた方が、いいです。
ニコチンのフタが開くのは、吸い込んだタバコの煙が肺胞から急激に大量に吸収されることに原因があると思われます。
副流煙は、一気に吸い込むというよりは、少しずつ長い時間吸い込むことに問題があります。
受動喫煙によって・・・
日本全国で平成12年度1年間に2~3万人の方が亡くなっていると言われています。(WHO)
肺ガンで、1000人~2000人・心臓の病気(虚血性心疾患)で、
2000人~3000人、脳卒中で1万人弱の方が、亡くなられているというデーターもあります。
肺ガンに関しては、喫煙者本人の方が、はるかに危険なのですが、
虚血性心疾患や脳卒中では、喫煙者本人と受動喫煙の害の差があまりないようです。
Q: 外国の禁煙補助剤には、どんなのがあるの?
A :ニコチンの点鼻薬があります。鼻にシュッシュッと、噴霧することで、鼻粘膜からニコチンが、吸収されます。
外国では、いろいろな禁煙補助製剤が、使われています。
他にもニコチンインヘラーがあります。ニコチンの入ったカートリッジを吸い込む吸入薬のことです。
禁煙パイポのようなパイプ式のものです。マウスピースと10mgのニコチン(メントール香料入り)を含むカートリッジで構成されており、たばこを吸う感覚でニコチンを取り入れますが、たばこのように有害なタールや一酸化炭素を含みません。ただし日本では、使用できません。
どちらも、個人の並行輸入では、入手できますが、医師の指示なしに、使うことはおすすめできません。
Q:日本の禁煙の補助薬って?
A:ニコチンガムとニコチンパッチがあります。ニコチンガムは市販薬ですので薬局で買えます。
それぞれに長所、短所がありますので、医師の指導の下自分にあった方の補助薬を使ってください。
Q: ニコチンパッチやニコチンガムは、安全?
A :ニコチンパッチにもニコチンガムにも、
少量のニコチンしか入っていません。とても、安全な薬です。
タバコのように、200種類もの有害物質(タール・一酸化炭素etc)は、含まれていません。
Q :タバコのニコチンとニコレットのニコチンの違いは?
A: タバコのニコチンと、ニコレットやニコチンパッチのニコチンは、吸収速度と吸収量が、違うのです。
タバコのニコチンが、悪いのは、急激な吸収速度と、吸収量にあります。タバコを吸うと、約7秒で、脳のアセチルコリン受容体に結びつくといわれています。その時吸収される量も、とても多いのです。
脳の中で、脳内報酬系に働き、いい気持ちになるのです。
そのことが、強い依存を引き起こします。そして、ニコチンによって、急激な血管収縮も起こってしまうのです。
ニコチンパッチやニコレットのニコチンは、
ごく少量のニコチンが、ゆっくり、持続的に吸収されるように作られています。ニコチンパッチは、1枚で24時間、ニコレットは、1個で、30分から1時間です。
ニコチンパッチもニコチンガムも医薬品です。
タバコのニコチンが悪いのは、その吸収速度と量にあるのです。
安心して、ニコチンパッチやニコチンガムで、
少量のニコチンを補充して、からだや脳に、無理のない禁煙をして下さい。
Q:タバコを吸うとやせるって本当?
A: 「うそ」です。
タバコを吸っている人で太っている人もいれば、タバコを吸わない人でやせている人もいます。
喫煙により食べ物の味が悪くなり、味覚障害を起こし、ニコチンの作用で胃液の分泌が抑えられ、食欲を無くして結果的にやせてしまうケースはあるようです。
これとは反対に、タバコを吸わないと味覚がよくなり、食べ過ぎて太ってしまうということもあるようです。
しかしながら、喫煙で自分の体のコンディションを崩し、食欲をなくし、また栄養の補給を自ら阻害して結果的に「やせる」というのは、どう考えてもおかしなことです。
Q: お肌への影響ってあるの?
A: タバコを吸うとニコチンの血管収縮作用によって血液循環に障害をきたします。そのため肌に張りがなくなり、シミが目立ち、顔色も悪く、細かいしわができます。
また、タバコによって体内のビタミンCの貯蔵量が不足となり、メラニン色素が沈着しやすくなり、どんなに高級なクリームをつけても追いつかなくなります。
また、喫煙者の中には顔色だけでなく唇の色が悪い人がいますが、これは喫煙によって一酸化炭素を吸い込み、血液中のヘモグロビンが酸素を運べずに一酸化炭素を運んでしまい、酸素不足となるためです。
Q:タバコを作るために多くの木材が使われるって本当?
A:毎年、長野県2つ分の森林が消えています。
タバコの葉を乾燥させるために、世界で毎年長野県二つ分(東京ドーム580個分)もの森林が喪失しています。 また、紙巻タバコ1本あたりに使われる紙は0.1グラムで、日本における年間消費量の3,000億本をかけると3万トンになります。この他に包装用の紙を加えると30万トン近くにもなり、これは日本の紙消費量の1%以上に相当します。
Q: 国が認めているタバコに対して、どうして規制を求めるの?
A: 健康被害が多いからです。
国が認めている商品であっても、危険防止等のために、その製造、販売、広告や、表示のしかた、使用方法などが法令で規制されている例は珍しくありません。
これほど有害性が明らかとなっている商品の製造販売が、今日でも許可されているのは、これまで既に長年にわたって広く用いられてきたことと、国民の健康より目先の税収入が大切という、誤った国の政策によるものです。
したがって、理論的にいえば、健康に害があることが明らかな以上、タバコの製造販売を法令で全面的に禁止しても少しもおかしいことはなく、禁止しないまでも、テレビ広告や自動販売機による販売を禁止し、公共の場での喫煙を禁止しても、法律上は全く問題がありません。
世界の主な国々は、タバコの有害性を認識し、その規制を強化しようとしています。公共施設をはじめとして、ホテル、レストラン、酒場などに至るまで法律で喫煙を規制しているところもあります。
日本は世界的にみれば非常にタバコ規制の甘い国で例外といえるほどです。21世紀の国際社会の中で、世界からタバコ対策の進んだ国として認められたいと考えるならば、もっともっと喫煙規制は強化されるべきなのです。
Q: 「分煙」って何?
A:きちんとした喫煙所を設置することです。
職場、交通機関、ホテル、レストランなど多くの人々が行き交う公共の場では、タバコを吸える場所をきちんと分けていこうということが「分煙」です。
一つの空間の中でタバコを吸う人が一人でもいると、タバコを吸わない人も大きなダメージを受けます。そこで喫煙者と非喫煙者が共存する方法として「分煙」が考え出されました。
「分煙」とは、喫煙者のためにタバコが吸える部屋などを用意し、間仕切りや排気をきちんとし、非喫煙者のところにタバコの煙が漏れてこないようにすることです。灰皿を部屋の隅に置いただけや、空気清浄機を設置しても間仕切りと排気などがなければほとんど効果はありません。
Q: 「たばこ病訴訟」って何?
A:タバコが原因で病気になった人が、国とJTに対して起こした裁判です。
1998年5月15日、長年にわたる喫煙が原因で肺がん、肺気腫、喉頭がんなどの病気になった患者7名が日本たばこ産業(JT)と国を相手取り、東京地裁に起こした訴訟が「たばこ病訴訟」です。
「自分が好きで吸っていたのだから“自業自得”ではないか」と言う声もありますが、タバコの主成分であるニコチンには強い依存性があり、喫煙者の7割以上が「やめたい」と思っていてもすぐには止められないのが実情です。
ところが日本のタバコ会社は、タバコの依存性(中毒性)を隠して、大々的な広告・宣伝を展開し、「吸い続ける」ように仕向けているのです。
アメリカでは「喫煙はがんの原因である」、カナダでは「喫煙はあなたを殺すかもしれない」、欧州連合では「喫煙は本人と周囲の人々を著しく害する」などの厳しい警告表示がなされています。
ところが日本ではメディアやイベントなどを通して、「タバコはリラックスできる」「かっこいい」「うまい」などと喫煙を煽る宣伝を続けており、外国との格差はひどいというより、全く逆であるといえるものです。
アメリカのいわゆる「たばこ病訴訟」では多額の損害賠償金の支払いを命じる評決が続々と出されています。日本におけるこの「たばこ病訴訟」は、JTと国の姿勢を問う画期的なものといえるでしょう。
Q: タバコの煙に空気清浄機は有効なの?
A: タバコに含まれる一酸化炭素等の有害物質は除去できません。
タバコの煙から出る有害物質は、粒子相(10.8%)とガス相(89.2%)からなっていて、空気清浄機ではタバコ煙の粒子相を100%除去できたとしても、それはタバコ煙有害物質全体から言えば10.8%が除去できるにすぎません。
ガス相は全く除去できないため、一酸化炭素や発がん物質などガス状の有害物質の8割以上は空気清浄機を素通りし、全く浄化されることなく空気清浄機の排気口から出て、周囲に撒き散らされてしまっています。
したがって、空気清浄機を設置し「分煙」をしているところでも、きちんとした仕切りがなければ『分煙』とは言えず、かえって有害物質を周囲に撒き散らしているだけだと言えます。
Q: 「受動喫煙イエローカード」って何?
A: 「受動喫煙」とは、喫煙者自身だけでなく、たばこを吸う人の周囲にいる人に対するたばこの害のこと。たばこの煙は、喫煙時に口腔内に達する「主流煙」と、これが吐き出された「呼出煙」、点火部から立ち昇る「副流煙」に分けられ、副流煙にも有害物質が含まれるため、喫煙者のそばにいる人の健康に影響を与えます。「健康増進法」で定められた受動喫煙の被害防止地域である公共施設、喫茶店、駅などで受動喫煙の心配がある場合、あらかじめ用意した「イエローカード」で施設管理者に喫煙の自粛や禁煙措置を促します。この仕組みはサッカーなどのスポーツで、審判が警告のために黄色の札を示すイエローカードの規定を真似してつくられました。イエローカードに決められた形式はないが、たとえば、たばこ問題に取り組む医師らで作る兵庫県喫煙問題研究会の作成した「健康増進法イエローカード」では、黄色地の名刺大の紙に、禁煙マークと「法律にしたがって受動喫煙対策をしてください」というメッセージ、健康増進法25条の条文などが書かれています。
Q: 世界保健機構(WHO)のたばこ規制の内容は?
A:禁煙は、たばこを吸うことを禁ずる、またはやめることであり、世界保健機構(WHO)による呼びかけを受けて、世界の先進国で、健康や環境に配慮した禁煙が進んでいます。WHOは、たばこを原因としたがん、心臓病などの疾病、死が世界的に広がっていることを重視し、公衆衛生分野では初の国際条約の制定に向けた作業を行い、2003年5月に加盟192カ国の満場一致で、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC:WHO Framework Convention on Tobacco Control)」を採択しました。日本は2004年3月に批准し、同年11月にペルーが批准したことで、批准国が発効条件の40カ国に達し、同条約は2005年2月に発効。同条約の制定によって、締約国は国内法に基づいてたばこ商品の表示が健康への影響が誤解を生むような「マイルド」「ライト」といった表現を改めること、たばこ包装の主要部分の少なくとも30%以上を警告表示とすること、未成年者へのたばこの販売を禁止、自動販売機を利用されないようにすることなどが定められました。
Q: たばこと貧困との間にどんな関係があるの?
A: 世界の先進国では、健康や環境に配慮した「禁煙」が進んでいることを受けて、たばこの消費量が減少傾向にあります。一方、発展途上国では大幅に増加しており、貧しい家庭ではたばこの購入金額が家計に占める割合が高くなっています。親などの家族がたばこを購入する分だけ、家計から子どもの教育や食事食料に回す額が少なくなる。また、長期的に見ても発展途上国の人々の健康、教育に喫煙が悪影響を与えていると考えられています。さらに、発展途上国のたばこ植物の栽培が、土壌から栄養分を奪い、殺虫剤や肥料による汚染を引き起こし、タバコ葉の乾燥などのために森林破壊を招くなど、環境にも影響を与えていると指摘されています。